1. 視察日
2025年5月17日(土)
2. 視察先
大阪府枚方市 農福連携モデル施設「さんさんグリーン」
3. 視察目的
農福連携の実践事例および地域交流のあり方を学び、今後の農福連携・地域連携に生かすこと。
4. 視察内容
当初予定されていた茶摘み体験会および意見交換は雨天により中止となりました。
代替として施設内での研修会・講演が実施されました。

13:00~ 研修会・意見交換
- 新免施設長による「さんさんグリーンの農福連携の取り組み」説明
- 盲ろうトライアスリート・中田鈴子氏による講演
「心で見て、心で聴く ~誰もが活躍できる社会~」

5. 学び・所感
「さんさんグリーン」は利用者21名(うちろう者80%、精神・知的20%)が在籍。
平均工賃は44,000円と大阪府B型事業所の平均(18,176円)を大きく上回っています。
生産(農業)・加工(製造・調理)・販売(コミュニティカフェ)の3つの柱で地域とのつながりを深め、単なる就労支援にとどまらず、地域の文化・経済との連携を通じて新たな社会的価値を創出している点が印象的でした。
コミュニティカフェの特徴
- 毎日1品メニューを提供(500円)
- 最終土曜日にイベント開催
- 多い日には1日100名が来店

地域農業との連携
地域特産の農産物(宇治抹茶、万願寺とうがらし、京都海老芋、鷹の爪、京都田辺ナスなど)を活用した生産活動を展開。
「地域農業の応援」と「地域貢献」を明確なビジョンとして打ち出していました。
さんさん食育プロジェクト
- 2020年開始、年2~3回実施
- 児童養護施設の入所児童を対象に農業・菓子作り・パネルディスカッションなどを提供
- 京都府補助金の活用例あり
6. 特に印象に残ったこと
- 「障がい者=支援される存在」ではなく、「地域を支える存在」としての捉え方
- 「できない」ではなく「やってみる」という挑戦の文化
- 中田鈴子氏の講演での「ほんの少しのサポートで多くのことが可能になる」という言葉
- 「さんさんグリーンだからできる仕事」という考え方が、福祉と地域をつなぐ新たな可能性を示していた
7. 同行者
鹿児島(5名)、熊本(2名)、長崎(1名)、高知(5名)、東京・千葉(9名)、長野(3名)、大阪(5名)
福祉・農業・行政・医療・民間企業など、多様な分野から計30名が参加
8. その他(茶摘みイベントの報告)
5月15日から始まった「さんさんグリーン茶摘みの集い2025」は、雨天により5月17・18日は中止。
11日間で延べ115名が参加しました。
春先の気候の影響で市内の茶農家の収量は減少しましたが、「さんさんグリーン」では前年比10%減に留まり、JA碾茶販売会では4万円/kg超の高値で落札されるなど、高い評価を得ました。
9. まとめ
今回の視察を通じて、農福連携は就労支援の枠を超え、「地域をつくる」取り組みそのものであると再認識しました。
今後、大村ノウフクネットワークでも「その人らしさ」が活かされ、地域に求められる存在となるような環境づくりを進めていきたいと思います。